返報性という心理学の原理について解説していきたいと思います。
返報性とは、相手から何かを受け取ったときに
「こちらも同じようにお返しをしないと申し訳ない」
という気持ちになる心理効果のことです。
返報性とは?ビジネスで使える心理学の原理と活用法
返報性は、心理学の世界でよく知られている用語で
意味は「自分の行いはやがて自分の元へ返ってくる」ということです。
返報性は、ビジネスでもよく活用される心理の1つです。
例えば、スーパーで試食品を提供することで
「一つくらい買わないと」という心理が働くことがあります。
これは「好意の返報性」が働いています。
また、「譲歩の返報性」は交渉術「※ドア・イン・ザ・フェイス」で利用されます。
最初に相手が断るであろう無理な要求をしたあと
小さな要求を行い、承諾を得る。
これは、「譲歩の返報性」が働いています。
このように、返報性は日常生活やビジネスシーンで頻繁に見られます。
では、どうして人間は返報性に従って行動するのでしょうか?
その背景には、社会的な規範や感情的な要因があります。
社会的規範と感情的要因
社会的規範とは、社会で暗黙的に共有されている
行動や思考の基準やルールのことです。
人間は社会的規範に従って行動することで
社会的な調和や信頼を保とうとします。
返報性も社会的規範の一つです。
相手から何かを受け取ったら
お返しをするのが礼儀だという考え方が
多くの文化で共有されています。
相互に贈り物をする習慣があります。
これも返報性の社会的規範に基づいています。
感情的要因とは、人間が感じる感情や気持ちのことです。
人間は感情的要因に影響されて行動することもあります。
返報性も感情的要因に関係しています。
相手から何かを受け取ったら
感謝や好意を感じることがあります。
その反対に、何も返さなかったら
罪悪感や恥ずかしさを感じることがあります。
嬉しくなってお礼を言うことがあります。
これも返報性の感情的要因に基づいています。
ドア・イン・ザ・フェイス
(英語: door-in-the-face technique 、DITF)
または譲歩的要請法(じょうほてきようせいほう)は
社会心理学で一般的に研究されている承諾を得る手法の一つです。
この手法では
説得者はまず回答者が断る可能性が最も高い大きな要求を行います。
その後、回答者に2番目の要求を従わせるように説得します。
その場合、回答者は、同じ要求が単独で行われる場合よりも
2番目のより合理的な要求に同意する可能性が高くなります。
説得者が小さな要求から始めて
各要求の要求を徐々に増やす
フット・イン・ザ・ドア (FITD) 手法とは対照的です。
FITDとDITFの両方の手法により
回答者が2番目の要求に同意する可能性が高くなります。
このテクニックは恋愛でも使われます。
最初に相手が断るであろう無理な要求をしたあと
小さな要求を行い、承諾を得る。
「小さな要求」をすると承諾していただきやすくなるという交渉術です。
このテクニックは日常生活から営業活動まで
交渉が発生するあらゆる場面で使えます。
返報性をビジネスで活用する方法
返報性はビジネスでも有効な心理学の原理です。
特にマーケティングや営業では
顧客やクライアントに対して
返報性を利用することで
商品やサービスの購入や契約を促すことができます。
返報性をビジネスで活用する方法は
主に以下の3つです。
これは、相手に商品やサービスの価値を
実感させるとともに
「好意の返報性」を引き出す方法です。
例えば、化粧品や食品などの無料サンプルや
オンラインサービスの無料試用期間などがあります。
これは、相手に商品やサービスの購入や契約を
お得に感じさせるとともに
「好意の返報性」を引き出す方法です。
例えば、会員登録や紹介での割引や
ポイントやクーポンなどの特典などがあります。
これは、相手に自分が歩み寄っていると
感じさせるとともに
「譲歩の返報性」を引き出す方法です。
例えば、値引きや条件変更などの譲歩や
相手の要望に応えることで妥協などがあります。
最後にまとめ
返報性とは、相手から何かを受け取ったときに
「こちらも同じようにお返しをしないと申し訳ない」
という気持ちになる心理効果のことです。
返報性は、社会的規範や感情的要因によって
人間の行動に影響を与えます。
返報性は、ビジネスでも有効な心理学の原理です。
無料サンプルや試用期間、割引や特典、譲歩や妥協などを
提供することで、相手に返報性を引き出し
商品やサービスの購入や契約を促すことができます。
返報性は、日常生活でもビジネスでも
人間関係を良好にするために重要な心理学の原理です。
相手から受けたものに対して
適切なお返しをすることで
相互の信頼や好感を高めることができます。
皆さんもぜひ返報性を意識してみてくださいね。